それでも原発は必要なのか？
私は2011年のＭ9.0（マグニチュード9.0）の巨大地震が、自分が生きている間に起こるとは想像できませんでした。地震や大津波が、壊滅的な破壊を主に東北地方に与えたのに加え、福島第一原子力発電所（以下、原発という）の事故発生により、生きものが暮らしていくための土台となる大地や海が、放射能により汚染されつつあります。
現在進行中のこの事態を目の当たりにして、ひとりの人間、ひとりの高校の物理教員として、本当はこれまでもっと強い意志をもって伝えるべきことをやってこなかったという点で、それこそ頭をハンマーで殴られた気がしています。お前は一体、今まで何をしてきたのかと。
ひとたび事故を起こせば、時間的には子供や孫の代どころではないはるか未来にまで、また空間的にも大気や海を通じて隣国や全世界にまで深刻な影を落としていくのが原発事故です。そこに住み続けてきた人間はもちろん、動物や植物にとって、住家であった場所を「暮らしていけない土地」にしつつあります。時間が経つにつれて、その範囲は確実に広がっています。
そもそも、この社会が原発を受け入れてきてしまった「消極的な」背景には、今回のような重大な事故は「決して起こらないようにできている」という、いわば原発の「絶対安全神話」が大前提にありました。科学技術の英知をもって稼動させている原発は、あらゆる想定に対処しています、何重もの安全装置によって重大事故に至る確率は、それこそ想定できないくらい小さいものです、と私たちは教え込まれてきました。それどころか、ここ10年に至っては「原発はCO２を出さない地球温暖化防止に役立つ、環境にやさしいクリーンなエネルギー」とまで言われてきたのです。
しかしその神話は、本当に、あっさりとで崩れ落ちてしまいました。
神話どころか、福島原発は地震と津波に対してはほとんど無防備な、単なる「欠陥発電所」であることが分かったのです。国民の安全を守るためにやるべき対策はすべてやってきた、というにはおそよかけ離れたシステムだったことが、調べれば調べるほどに明らかになりつつあります。絶対に安全でなければ成り立たない原発の前提が崩れ去った以上、この発電システムをこの地震国日本で使い続ける合理的な理由はありません。「絶対安全」であることを唯一の稼働条件としていた原発稼動は、その根拠を一瞬のうちに失いました。
私たちはいま、大きな岐路に立たされていると認識しましょう。
明日にも、あるいはもう少し先になるのか分かりませんが、あってはならない今回のような事故が、またもや日本国内なのか、あるいは世界のどこかで「再び目撃されてしまう」危険を感じながら原発の運転を許していくのか。それとも新しいエネルギー利用の世界を目指して「原発との決別」を模索していく世界を選ぶのか。
答えはとっくに出ている、と私は思うのです。
当たり前と思われるこんな話が、これまでなぜできなかったのでしょう。私たちはこの40年間、なぜこのような原発を容認する世界を許してきたのでしょうか。
今回のような事故さえ起こらなければ良かったのかといえば全くそうではありません。原子力を知れば知るほど、事故が起こる前からすでに「本来人類が受け入れるべきではないエネルギー源」であることは分かっていました。なぜなら、途方もない量の放射性廃棄物（核のゴミ）を生み出し続けるのが原発であり、それは私たち人類が今後途方もない時間にわたって管理し続けなければならないという、遠い未来の子孫にまで負担を強い続ける、どうしようもない、未来の人々にとってやっかいものでしかない機械だからです。
たとえばあなたの５００年前の祖先が、わずか50年間のエネルギー欲しさで残した放射性廃棄物にずっと悩まされ続ける世界を許容できますか。
（桐蔭学園高校 物理教員 鈴木邦彦）
敦賀半島の活断層と原発 2011.8.1記載
現地レポートを作りました。
神奈川県内の放射線量計測のお手伝いをします。
2011.6.22記載
日曜日限定で、神奈川県内の放射線量の測定をボランティアで行います。
幼稚園、小さなお子様のいるご家庭周辺など、
日程が合えば伺いますのでメールしてください。
メールはこちらまで
機種：米国polimaster社 PM1405 survey meter
月～土は教員をしていますので遠くは難しいですので、日曜限定ということです。
横浜市都筑区近辺であれば、それにはとらわれませんのでお気軽にメールください。
直接、顔を合わせて測定した方がいいと思っていますが、
この辺りを測定して、とメールで指示いただければ、
こちらで勝手に伺って測定し、
後日、測定結果をお伝えすることもできます。
まあ、お気軽にどうぞ、ということです(^^）。
| 日 程 | 場 所 |
| 2011/7/3 | 神奈川県横須賀市芦名を中心に三浦半島 |
「あのとき」以降の放射能
神奈川県内を中心に、放射線量の計測結果をアップしていきます。
いずれ放射線についてのページに改変を予定しています。
2011年5月15日測定 神奈川西部 放射線量
測定器：POLIMASTER 1621M
より大きな地図で 2011年5月15日 神奈川県内放射線量 を表示
2011年7月3日神奈川三浦半島西部
3月に降り注いだ放射能がよく分かるビデオ
株式会社 K&F Computing Research 社が公開している
「放射能を含んだ風の流れ」(左）と「降った雨による地面の汚染」（右）
を併せたシミュレーション結果です。
直感的にはとても現在の汚染状態を良く示しています。
とくに、
①福島の汚染マップと整合性がある。原発から北西方向、中通りの汚染が一致。
②関東地方に限れば、3月15日に放射能を帯びた「風」が通過したこと（これにより空中線量が跳ね上がった）。
③さらに3月21日に放射能を帯びた「風」に加えて降った「雨」により、地面に定着してしまった。
これが現在の残留放射線量を支配しているとみて間違いないと思います。
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